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2008年3月13日木曜日

朝日新聞より

天声人語
『古書の世界は奥が深い。・・・値のはる稀コウ本もある。漱石の「吾輩は猫である」の初版など、上中下揃った美本で300万ほどするらしい。
・・・国土交通省が秘蔵していると聞いた。一冊あたり三千万円。・・・内容は猫もまたぐお粗末さらしい。・・・
税の蜜壷に無数のストローが、巧妙につっこまれている。これはその一本に過ぎないと誰しも想像がつく。かくて公金は「かけ流し」の湯のように、暗い溝に落ちていく。
〈役人は人民の召使である。〉と漱石の猫は作中で言う。・・・と公僕精神の退廃を嘆いている。それから一世紀。猫の嘆きに細野氏の怒りが重なる百年一日ぶりが、やり切れない。』

作品名は忘れたが、かつて習った阿蘇山の「馬が草を食べている」という一説を想起させる名文だ。
天声人語は執筆者の名前が出ないけど、この人の文章は毎回面白い言い回しが出るから好きだ。

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